話題の春アニメ『スキップとローファー』 青春と切なさが詰まった青春群像劇の魅力

 2023年4月4日からTVアニメの放送が開始する『スキップとローファー』。青年向け漫画雑誌「アフタヌーン」にて2018年より連載を開始しました。「マンガ大賞2020」にノミネートされ、3位受賞と話題沸騰中の人気作品です。
 今回は『スキップとローファー』のあらすじや魅力を改めてご紹介します。どくしょ部おすすめのエピソードも3選ピックアップ! 青春とじんわり心に染み渡る切なさが詰まった、『スキップとローファー』の魅力に触れてみてください。

スキップとローファー (1)

スキップとローファー (1)

岩倉美津未、今日から東京の高校生! 入学を機に地方から上京した彼女は、勉強こそできるものの、過疎地育ちゆえに同世代コミュ経験がとぼしい。そのうえちょっと天然で、慣れない都会の高校はなかなかムズカシイ! だけど、そんな「みつみちゃん」のまっすぐでまっしろな存在感が、本人も気づかないうちにクラスメイトたちをハッピーにしていくのです!

『スキップとローファー』あらすじ紹介

 10代の友情や恋愛を濃密ながらも爽やかに描く『スキップとローファー』。アニメ化を記念して、あらすじと魅力についてご紹介します。

解像度の高さがすごい! 青春ヒューマンドラマ

 主人公・岩倉美津未(いわくら・みつみ)は勉強が取り柄の女の子。夢を叶えるため田舎から東京の高校に進学し、慌ただしい都会に戸惑います。いよいよむかえた入学初日、困っていたところを同じ学校の志摩聡介(しま・そうすけ)に助けてもらい……。
 下宿先の叔母・ナオの手を借りつつ、江頭ミカ・村重結月・久留米誠の3人との友情と、ゆっくり変化していく志摩との関係を描いた、穏やかながらもどかしさを感じる青春群像劇です。

 連載開始から徐々に話題になり、10代の繊細な心の機微が丁寧に描かれ、学生生活を思い出させてくれるようなノスタルジーも魅力の本作。10代らしい登場人物の心情から、何気ないシーンの細部まで解像度が高く、「大人こそハマる漫画」との感想も多く寄せられています。

 田舎の狭いコミュニティの中で育ち、素直でまっすぐな主人公・美津未。そのせいか、イケメンで人気者の志摩と関わることで向けられる妬みや悪意には鈍感です。美津未の鈍感さのおかげで、ドロドロした展開に陥らずトラブルが生じても清涼感を感じられます。
 最初はクラスでやや浮いていた美津未ですが、実直な姿に周囲も影響され、友情関係も確実なものへと成していきます。思春期ならではの人間関係のまごつきや葛藤もリアルに描かれ、読者の胸に刺さります。
 リアリティのある登場人物、どこか懐かしい青春の一コマ、一生懸命過ごした愛おしい日々を思い出させてくれる作品です。

おすすめのエピソード紹介

 現在8巻まで発売されている本作。ドキドキの第1話から、思春期の葛藤や友情が色濃く描かれた話まで、おすすめのエピソードを3つご紹介します。

1巻 Scene1 ぴかぴかの高校生

 新生活への期待を胸に、ドタバタな入学初日を描いたScene1!
 東京暮らしに夢を抱き心踊るような冒頭から一転、入学初日早々迷子になったり通勤ラッシュに具合を悪くした美津未。入学式に間に合わないかも、という事態に見舞われます。駅の片隅で落ち込んでいると、同じ制服を着た男の子・志摩聡介に声を掛けられて……。

 真面目な美津未と、気楽な志摩がわかりやすく対照的に描かれています。絶望を味わっていたところ、「たかが入学式」と軽んじる志摩に八つ当たりしてしまう美津未。しかし気にする様子もなくさらりとかわされ、生まれて初めて自分の小ささを感じました。
 慣れない環境で15歳の少女であれば思わずくじけてしまいそうですが、自分の未熟さを恥じつつも、負けじと立ち上がれるのが美津未の良いところ! 必死な美津未に志摩も目を輝かせ学校まで一緒に走る様子が、これから始まる高校生活を表しているようでワクワクします。
 優しい志摩と、不器用な面も愛らしい美津未が出会うおすすめのエピソードです。

3巻 Scene15 いろいろの夏休み

 江頭ミカという等身大のキャラクターにのせられた、リアルな心情が刺さるエピソード。
 同じクラスの友人ミカ、結月、誠が美津未の家にお泊まりすることに! そんな中ミカは嘘をついて途中で帰ってしまいます。様子がおかしいミカに気付いた美津未の叔母・ナオは、今からでも戻るようにアドバイスをします。

何に気後れしてるのか知らないけど 誰かと本当の友達になれるチャンスなんてそうそうないのよ

(『スキップとローファー』3巻「いろいろの夏休み」より)

 志摩への好意から美津未に嫌な態度をとってしまったり、美人で優秀な結月に引け目を感じている描写が多いミカ。実は、努力をしても自信を持てず傷つけられることに臆病になっていたからだったのです。学校という閉鎖的なコミュニティ、自分らしさを大事にすることの難しさ、周りの声を気にしてしまうミカに共感します。
 人の気持ちは簡単に分からないからこそ、素敵な出会いに後悔しないよう向き合うことの重要さを教えてくれた、ナオのセリフが響くシーン。思いやりを持って素直になろうと、背中を押してもらえたような気持ちになれるエピソードです。

7巻 Scene39 うだうだの帰り道

私 ゆづが美人で大変だったって悩みとかどんなに聞いたとしてもさ
大変だなって頭で思っても
それでもゆづみたいな見た目になれるならなりたいって
心の底では思っちゃってる気がするんだよね
それがすんごい嫌

(『スキップとローファー』7巻「うだうだの帰り道」より)

 ハイスペック美人な結月と、素朴な誠の友情が胸に刺さる感動のエピソード。
 2年生に進級し新学期が始まりますが、結月は美津未たちとクラスが離れてしまいます。新しいクラスに馴染もうとした矢先、恵まれた容姿のせいで苦労する結月。昔からすぐに勘違いされ、女子同士の友情が壊れてきたトラウマがよみがえります。
 そんなとき、結月の様子がおかしいと聞いた誠。今まで何かあればすぐに駆けつけてくれた結月と同じように、結月の元へ向かいます。悩みを打ち明けられなかった結月に、一番の理解者にはなれないかもしれないけど苦しいことも教えてほしい、と泣きながら伝えます。

 「結月は美人なんだから、ちょっとくらいいいじゃん」とつい思ってしまう嫌な部分と向き合い、内心を赤裸々に吐露するミカや誠。それぞれの悩みやにも人間味があり、共感を覚える読者もいるでしょう。
 コンプレックスはなかなか拭えるものではありませんが、タイプが違ったとしても、お互いを大事に思って行動する姿にグッときます。生きていれば悩みはつきませんが、受け止めてくれる友人の存在の大きさを改めて感じるScene39。友達は数ではない、という大切さも教えてくれるエピソードです。

終わりに

 本記事では『スキップとローファー』の魅力、おすすめエピソードについてご紹介しました。ほかにも笑える場面や切なくなる場面、ふとした美津未のセリフに心が救われたりと素敵なエピソードが多い本作。現在8巻まで発行されているので、アニメと一緒にぜひ楽しんでみてください。
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