4月20日は郵政記念日。明治4年3月1日(新暦4月20日)に、日本で郵便制度が始まったことにちなんで定められました。
そこで今回は、手紙を題材にしたおすすめの漫画を8作品ピックアップ! ドラマ化や実写映画化した人気作から、あの名作の手紙にまつわるエピソードまで……。手紙はただの紙ではなく、人と人との思いをつなぐもの。直筆で書かれたメッセージは温かみがあり、書き手の気持ちが込められています。そんな手紙を通して紡がれる物語に思いを馳せてみませんか。
目次
手紙にまつわるおすすめ連作短編漫画
手紙にまつわるおすすめの連作短編集を3作品ご紹介します。どこか切なく、温かい気持ちにさせてくれる作品です。
手紙物語(全1巻完結)
社会人百合の名作『オハナホロホロ』の鳥野しのが描いた、手紙をテーマにした短編集です。
海ほたるのタイムカプセルポストをめぐる高校生の逡巡が切ない『苺とアネモネ』、1541年のイングランドを舞台にした『白き使者』、目が見えない少年と青年の交流を描いた『日雀』、手紙をめぐる推理が炸裂する『シュレディンガーの恋人』、宇宙を舞台に紙の招待状をめぐる『星の林に月の舟』など、バラエティ豊かな5作品が収められています。
約9年間にわたり羽海野チカのアシスタントを務めていた作者による、繊細で切ない演出の数々に心が癒やされます。まさに羽海野チカ作品のような、思わず涙があふれてしまう優しい世界観の作品が読みたい方におすすめです。
恋文日和(全3巻完結)
映画化された『溺れるナイフ』やアニメ化された『ダンス・ダンス・ダンスール』など、ジョージ朝倉による手紙をモチーフにした短編集です。2004年に映画化、2014年にドラマ化もされました。ジョージ朝倉の作品といえば、砕けた会話と濃厚でときに激しくぶつかり合う人間ドラマが見どころ。本作も初期作品ながら、情念たっぷりの恋愛が描かれています。
図書館での秘密の手紙、屋上から放たれる紙飛行機、制服を着たまま二人でお風呂につかりあう……。手紙がモチーフでありながら、独特なシチュエーションの数々。「なんでこんなシチュエーションを思いつくの!」と思わされます。ありそうでないような甘酸っぱい恋の物語を集めた珠玉の短編集。もう一度青春のときめきを味わいたい方におすすめです。
想い出スタンプ(全1巻完結)
手紙にまつわるヒューマンドラマがつづられたおすすめの短編集です。
1話目の『ポスト物語』は、ひとり娘を持つタクシー運転手・田村が主人公。職業柄、昼夜逆転の生活のため、家の中にポストを設置して家庭内文通を行う親子。ある日、娘の久美子から「お父さんに逢わせたい人がいるんです」という手紙が届き……!?
素朴で優しいほのぼのとした物語から、ときには想像もつかない驚きの展開を見せる物語まで。特に少年と女性とのバスでの交流を描いた『鳩の飼い方』は、驚かされること間違いなしのラストです。人情味のある人間ドラマが好きな方におすすめです!
手紙から始まる物語のおすすめ漫画
どこかの誰かから突然手紙が届く。差出人は肉親かもしれないし、記憶もおぼろげな友人かもしれない。それはどこかミステリアスな異常事態の始まりを意味しています。そうした手紙から始まる漫画を3作品ご紹介します。
黄昏流星群 (21)
『島耕作』シリーズを描き続ける名匠・弘兼憲史のもう一つの代表作! 40代以降の世代の恋愛を中心に、さまざまな人生模様を描いた短編集です。今回は21巻に収録されている『星のペンパル』をご紹介します。
家の収納棚から見つけた、知らない男から母親への大量の手紙。母子家庭で育った小野ヒロシは、40年以上男と文通を続けていた母の秘密に驚愕します。しかも、母は相手と一度も会ったことがない様子。電話番号も交換せず、いつか子どもが大きくなったら会いましょうという約束だけを信じ、手紙だけの付き合いを続けていた二人。しかし、男は病気で目が見えなくなっていました……。
『黄昏流星群』のなかでも特に完成度の高い一作です。手紙からはじまった男女の関係性は、読者をどこかヒッチコック風味のミステリーへと誘います。40年間手紙だけで交流していた二人の関係はどこへ向かうのか……。弘兼憲史の手紙というモチーフの扱い方にうならされること間違いなし! 漫画的なミステリーのテクニックがさえ渡った一作です。
トーマの心臓(全1巻完結)
唯一無二の少女漫画家・萩尾望都の名作! 手紙からはじまる名作の一つであり、萩尾望都の初期代表作です。漫画史に残る作品として、いまだに多くの評論家により語り継がれています。
ある雪の日、シュロッターベッツ高等中学の生徒トーマ・ヴェルナーが陸橋から転落死しました。そして、「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」と書かれた、トーマからの一通の手紙が優等生ユリスモールのもとに届きます。手紙の真意とは、トーマの死の真相とは……? ドイツのギムナジウムを舞台にした本作は、少年たちの悩みや心の葛藤がみずみずしく描かれています。
少女漫画や、特に1970年代に少女漫画を革新した「24年組」と呼ばれる作家たちの作品では、手紙は繊細な心理を表現するために用いられました。書かれた手紙を別の人物が読み上げることで、時間と位相が入り交じる複雑さを表現しています。本作も、冒頭とラストに繰り返される手紙の描写は、より重層的な時間の隔たりを表現しています。
本編で用いられるさまざまな漫画的なテクニックは、いまだに古びることはありません。トーマの死をめぐるミステリー作品としても読める本作は、『すべてがFになる』で有名な小説家・森博嗣が小説化し話題になりました。
色の理由(全1巻完結)
青春の心理を描いたオムニバス単巻完結作品!
主人公の大学生・みつほの元に届いた手紙は、教育実習の際に受け持った少女からの手紙でした。「オセロちゃんが死にました オセロちゃんは13歳で殺されました そのことを知っている人間は私しかいません」と、冒頭から衝撃的な内容の手紙。なぜ教育実習生のみつほに手紙を書いたのか……。ミステリアスな物語の始まりに、序章から引き込まれる作品です。
教育実習生の主人公にだけ吐露できる感情。少女の内面は、主人公との手紙のやり取りを通して深化していきます。「さみしいとは?」「心がざわつくとは?」「人を好きになるとは?」色の感じ方が人それぞれのように、出来事の感じ方も思春期の感受性により異なります。そんな当たり前のことを思い起こさせてくれる本作。大島弓子作品を想起させるような、大胆かつ繊細な言葉選びと心理描写が光る一作です。
手紙・郵便制度について勉強になるおすすめ漫画
手紙はどうやって送られる? 切手はどんな種類があるの? ここでは、気になる郵便制度についても触れられている漫画を2作品ご紹介します。
ヤギくんとメイさん(全3巻完結)
『極彩の家』『王国の子』など、個性的なタッチで独自視点のファンタジードラマを描いてきた漫画家・びっけが舞台にしたのは郵便局。新人局員の山城芽依が働くことになったのは、少し変わった郵便局。そこで働く仲間たちは、一癖も二癖もあるキャラクターばかりです。そんな郵便局に、さまざまな事件が舞い込んできます。
限定消印やフォルムカード、全国各地の郵政限定アイテムなど、郵政に関するおもしろい知識が多く得られます。郵便局の仕事や制度について知りたい方におすすめの漫画です。
キッテデカ(全2巻完結)
『ミスター味っ子』『将太の寿司』『喰いタン』の寺沢大介による、グルメではないミステリー作品です。普段はやる気のない刑事・前島郵雅(まえじま・ゆうが)が、持ち前の切手の知識を活かして事件を解決していく変わり種のミステリー漫画。切手に押されたわずかな印のズレ、印刷エラー切手の特徴、さらには切手の裏に塗られたのりの味の違いまで。彼の元にはなぜか切手にまつわる特殊な事件ばかりが舞い込み、独自の知識で難事件を解決していきます。
郵便に関する膨大な情報量に驚かされること間違いなし! マニアックなミステリー作品を読みたい方におすすめの作品です。
終わりに
おすすめの手紙漫画はいかがでしたか? どれも手紙というモチーフを丁寧に扱った名作漫画ばかりです。気になった作家がいれば、ほかの作品もぜひ読んでみてください!
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